キッズアース播磨町校「共明塾」

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【BookReview】『考えるナメクジ』松尾亮太

    01_自然観察,03_自由研究,07_おすすめ本・映画
兵庫県の理科実験教室、キッズアース播磨町校です。
今回は本の紹介です。


【ナメクジって...】


保育園や幼稚園で、「アジサイ」と「カタツムリ」の貼り絵が飾られると、梅雨の季節だな、と思います。
しかし、「ナメクジ」は...。

農業をされている方には、害虫だと認識されているでしょうし、時には無農薬の野菜の葉っぱについていたりして、嫌がられることもしばしば。
私も祖父の手伝いでビールトラップを仕掛けたこともあります。

では、この「ナメクジ」について、我々はどれだけ知っているでしょうか。



【人間にはない「脳」力】


この本の作者はこの「ナメクジ」の「脳」の研究者です。

ナメクジ」のことを英語で「slug(スラッグ)」と呼ぶそうですが、「sluggish(スラギッシュ)」には「のろま」「うすのろ」の意味があるそうです。
そんな呼ばれ方をしている「ナメクジ」ですが、人間にはない能力を持って進化している、というのがこの本の趣旨。

どこを読んでも知らないことばかりで、ビックリさせられ通しですが、驚かされた部分の章題をピックアップすると

雌雄同体で、頭の横から産卵
呼吸とウンチは同じ孔から
記憶は触角にも保存されている
・ピンセットで潰したはずの前脳葉が1か月で再生
触角も切られて数週間で生えてくる

...人間にはあり得ない特徴・能力ばかりです。

「はじめに」にありますが、この本では、「ヒト」に出来ることを「ナメクジ」も出来る、という話だけでなく、
ヒトの脳」では出来ないことを「ナメクジの脳」が行うことが出来る、という話が紹介されます。

万物の霊長」という言い方がありますが、現在、地上に生きている生物は、姿形、生存戦略が違えど、どれも「今の環境」に適応し繁栄している生物であり、「ヒト」だけが優れているわけではないのです。

そして、もしかするとこの研究から、新しい脳内物質や、脳機能についての新たな知見等が得られるかもしれません。

非常に興味深く、面白い本でした。


【関連本として...】


それにしても、『キリン解剖記』(Review)、『アリ語で寝言を言いました』(Review)に続いての「ナメクジ」。
我ながら、なかなかのラインナップだと思います。

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キリン解剖記 [ 郡司芽久 ]
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ちなみに、こういった本を続けて紹介する気になった直接のきっかけは、この本ですね。
この本については、またレビューしたいと思います。


それにしても、こういった様々な基礎研究こそ、本当の意味で大事だと思いますし、だからこそ、理科実験教室としても、そういった夢が見られる社会、知的多様性が尊重される未来の実現を願いたいものです。
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