キッズアース播磨町校「共明塾」

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【妖怪の科学】「驚異の部屋」と科学

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東大卒講師が勉強のノウハウを楽しく教える、兵庫県の共明塾です。
今回はヨーロッパにおける「妖怪の科学」を考えます。

大航海時代、ヨーロッパには様々な「異国」の文物が伝えられました。
その中には、それまでのヨーロッパ世界の想像を超えるような文物もあったことでしょう。

そういった「物珍しいもの」が集められたのが、「Wunderkammer(ヴンダーカンマー)」です。

Wunder」はドイツ語で、英語の「wonder」にあたります。「kammer」は「部屋」の意味。
あわせて、「驚異の部屋」と訳します。

最初はイタリアの貴族たちの趣味による蒐集がもともとだったようですが、
この趣味がドイツやイギリスにわたり、貴族だけでなく学者たちの手を経ることにより、
これらのコレクションが整理され、分類され、博物学へとつながっていきました。

私もドイツでいくつか美術館巡りをしましたが、それはそれは不思議な博物館がいくつもありました。
この「驚異の部屋」の伝統を受け継いでいる博物館なのだ、とも言えるかもしれません。

以前紹介した「驚異と怪異」展でも、オランダのライデンにある「国立民族学博物館」から
ろくろ首」や「人魚のミイラ」など、多数の文物をお借りしていたようです。

驚異の部屋」が「民俗学」「博物学」へと、学問へと昇華しているのを見て取ることが出来ます。

日本にも「好事家(こうずか)」と呼ばれる人たちが集めたものがありました。

しかし、学問的にも価値が高く、また、何が集められているのか良く分からない、という意味で、
驚異の部屋」にとても近いと言えるのが、東京大学のコレクションを展示している「インターメディアテク」でしょう。
東京駅の向かい、JPタワーの2階と3階にあり、なんと入場は無料。

中に入ると、その圧倒的で秩序立てられた無秩序に、度肝を抜かれること間違いありません。
私は東京に行く度、くらいの頻度で寄っていますが、その度に、驚かされ、圧倒されます。

東京に行かれた際は、是非訪れてみることをお勧めします。

そして、もう一つ忘れてはいけないのは、大阪にある「国立民族学博物館」(みんぱく)でしょう。

文化的「常識」というものが、いかに、現代日本の一部での合意でしかないか、ということを思い知らされます。

それを揺さぶられるだけでも行く価値は十分にあります。今なら「おうちでみんぱく」もやっていますし、
パノラマムービーで、中を「見学」することも出来ます。

さて、異文化の目からすると、記録だけでは、「妖怪」とその国固有の生物の区別は一層つきにくいでしょう。
その逆もそうで、日本人の目からは信じられない生物も、世界には多く存在しています。

こういった様々な文物に触れながら、他国の文化や自然、その多様性について思いをはせることはとても大事です。

一方で「科学」は、生物や現象について、客観的に記述する手法です。
こうやって集められた文物が、実際に絶滅してしまった何かの生き物であると分かる日が来るのかもしれません。
作りものであることが明らかになるのかもしれません。

しかし、それが作りものであると分かったとしても、何故それが作られるに至ったのか、
どういう文化の中で作られたのかを考えることも、「学問」だと言えるでしょう。

キッズアースの実験教室では、教科書を読むだけでは得られない「何か」を感じてもらうことで、
生徒の皆さんの可能性を拡げたいと思っています。

こういった「異文化」の文物に触れることも、重要な体験です。

様々な経験・体験を通じて、未来の「科学者」の卵への一助となれることを願っています。

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