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【BookReview】『16歳からのはじめてのゲーム理論』鎌田雄一郎
- 07_おすすめ本・映画,08_東京大学
「ゲーム理論」という学問があります。
何やら楽しそうな名前ですね。
しかし、この学問、世の中の様々な「戦略」を読み解くことのできる、とんでもない「ツール」なのです。
今回紹介する『16歳からのはじめてのゲーム理論』は、この「ゲーム理論」について書かれた本です。
しかし、前書きにあるように、この本には、難しい数式も出てこなければ、難しい分析も出てきません。
この「ゲーム理論」という学問の世界で明らかになった様々な「考え方」を、分かりやすい例で説明している本です。
物語に出てくるのは、町内会での投票について悩む町内会長、
ケーキの値段について考える洋菓子屋さん、
「ネズミ捕り」に捕まったおばさん、
といった普通の人たち。
その様子を、ネズミの親子が「鼠瞰」しながら、
何故そうなるのか、そうなったのかを議論しながら解説してくれます。
「バックステージ」では、物語のもとになった理論や考え方について紹介されていて、これもとても分かりやすい。
本の題名通り、16歳でも十分に理解出来るように書かれていますし、
経済学に進んで初めて「ゲーム理論」という言葉に出会った学生さんにも、
「ゲーム理論」の入口あたりで右往左往している(私のような)社会人にも、
とても読みやすく、その先の道筋に導いてくれる良書でした。
「ゲーム理論」は、「経済学」の枠組みにとどまらず、「政治学」や「生物学」にも応用され、投票行動や進化の分析に役立っているそうです。
また、作者が「はじめに」で触れている、「社会のことをよりよく理解」するために
「世の中には、いろいろな視点があるんだな」ということに気付いてほしい、という観点からは、
「心理学」と似ている部分もあるのだなと感じました。
学問にも様々な「分野」があり、それぞれの「分野」で視点も違えば、考え方も違います。
さらに、世の中には、多くのニセ情報、偏在した情報が存在します。
その中で、正しく判断するためには、「様々な考え方がある」ということを認識した上で、
正しい情報を吟味するところから始めなければなりません。
その入門として、非常に分かりやすく、面白い本だと思います。
さて、この次はこちらを買って読まないと、ですね。
- データ,経済学,戦略,論理的思考,ゲーム理論
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